宴会や飲み会などでは、テーブルの上に、大皿料理がずらりとならびます。
気の利く参加者は、自分の箸を逆さに持ち直して、みんなの分の料理を、小皿に取り分けてくれたりしますが、この箸を逆さに持ち直した「返し箸」で料理を取り分けるのは、実はマナー違反とされています。
料理の取り分けには「取り箸」を使う
箸を逆さにした「返し箸」で料理を取り分けるのには、「自分が口をつけた箸で他人に食べ物を取るのは失礼」という思いがあるからです。
しかし、よく考えてみると、それまでは手で握っていたところを使って、他の人に食べ物を取るというのは、とても不衛生で失礼なことです。
大皿の料理を取り分けるときには、「取り箸」を使うのがマナー。
「返し箸」は、箸のルーツの中国では、「相手との親密な関係を避ける行為」とされ、タブーとされています。
ちなみに、「取り箸」は、箸の本家の中国にはなく、日本にしかない風習です。
マナー違反とされる箸使い
「返し箸」以外にも、マナー違反とされている箸使いに、次のようなものがあります。
移り箸
一度箸を付けた料理を取らずに、別の料理に箸を付ける「移り箸」
迷い箸
「どれにしようか」と、箸をあちこちに動かす「迷い箸」
渡し箸
器の上に箸を置く「渡し箸」(箸置きがない時などに、してしまいがち。)
探り箸
手前の料理を取らずに、奥の料理に箸をつける「探り箸」
寄せ箸
箸を使って器を手前に動かす「寄せ箸」
刺し箸
つかみ難い料理を箸で突き刺して食べる「刺し箸」
涙箸
汁の具などを持ち上げた際に汁がたれる「涙箸」(器を持ち上げるか、取皿で受けます。)
ねぶり箸
箸先の汚れを拭き取ろうとして口でなめる「ねぶり箸」(懐紙を使います。)
~・~・~・~・~
「返し箸」を始めとした、普段の何気ない箸使いにも、マナー違反となる箸使いがあるので、気をつけるようにしたいですね。