節分と言えば「鬼は外、福は内」の豆まきですが、「恵方巻き」の丸かぶりをする家庭も多いです。
節分の日に、その年の恵方を向いて「恵方巻き」を丸かぶりすると縁起がいいといわれますが、恵方巻きが丸かぶりされるようになった由来とは、どういうものなのでしょうか。
恵方巻き
恵方巻きの由来には諸説ありますが、明治時代には、大阪の花街で節分を祝ったり、商売繁盛を祈ったりして、寿司を食べていたといわれています。
花街の芸子さんが、節分に芸遊びとして寿司を丸かぶりしながら、商売繁盛を祈っていたといいます。
当時は、名前も恵方巻きではなく、「丸かぶり寿司」とか「太巻き寿司」などと呼ばれていました。
寿司の具も七福にちなんで、7種類を入れて巻くことが多かったようです。
戦後しばらくは恵方巻きの風習は廃れていましたが、「土用の丑の日のうなぎの蒲焼」に対抗する販売促進手段として、1949年(昭和24年)に、大阪鮓商協同組合で「節分の巻き寿司」を復活させることが決められます。
この頃から、「恵方に向かって巻き寿司を食べて幸運を呼び込む」という、宣伝が行われるようになっていきます。
1977年(昭和52年)には「海苔祭り」のイベントとして「巻き寿司の丸かぶり早食い競争」が大阪の道頓堀で開催されましたが、これがマスコミに取り上げられて広く全国に知られるようなります。
「恵方巻き」の名付け親はセブンイレブン
「恵方巻き」は、もともと「節分の巻き寿司」「幸運巻き寿司」「丸かぶり寿司」などと呼ばれていました。
大手コンビニのセブンイレブンが、1989年に広島県で「縁起のいい風習」として「節分の巻き寿司」を発売すると人気となり、1995年には関西以西の地区で、1998年には全国で販売されるようになりました。
この時の商品名が「恵方巻」。
これ以来「恵方巻き」という呼び方が定着していったといわれています。
「恵方巻き」の食べ方
巻き寿司は一人に1本ずつ
縁を切らないように、巻き寿司(福を巻き込む)を、切らずに丸ごと食べます。
具は、七福神にあやかって、7種類入ったものが良いとされています。
巻き寿司を鬼の金棒に見立てて退治するという意味もあるとされています。
恵方を向く
恵方とは、その年に幸福を司る歳徳神(としとくじん)がいる方角のことです。
恵方は、その年の最も良いとされる方角で、2021年以降の恵方は、次のとおりです。
2021年:南南東
2022年:北北西
2023年:南南東
2024年:東北東
2025年:西南西
2026年:南南東
2027年:北北西
2028年:南南東
2029年:東北東
2030年:西南西
2031年:南南東
2032年:北北西
2033年:南南東
2034年:東北東
2035年:西南西
2036年:南南東
2037年:北北西
2038年:南南東
2039年:東北東
2040年:西南西
願いごとをしながら、黙って最後まで食べる
しゃべると運が逃げてしまうので、食べ終わるまではしゃべらないようにします。
「豆まき」よりも「恵方巻き」が一般化
「恵方巻き」というと、「豆まき」と並んで節分の行事として行われますが、昔からの伝統的な行事というわけではなく、戦略的に広められたというところがあります。
しかし、今では、節分の「恵方巻き」は、「豆まき」を追い抜いてしまう程に受け入れられているといわれます。
「節分にしたことは何ですか?」には、というアンケートで、「豆まき」と答えた人よりも、「恵方巻き」と答えた人の方が多かったという結果もあるようです。
どうして、これほど「恵方巻き」が受け入れられたのが気になるところですが、「恵方巻き」が受け入れられた理由には、次のようなことが考えられます。
夕食の献立が決まる
この理由が、一番大きな要因かもしれません。
毎日の献立を考えるのはとても大変なことですが、「節分」=「恵方巻き」ということなら、献立を考える必要がないというわけです。
主婦にとっては、うれしいことです。
豆まきの豆だけで食事という訳にはいきませんので。
豆まきよりも手軽
鬼に豆を投げつける豆まきは、子供にとっては楽しいことですが、親にしてみると、鬼役をやり、その後に掃除となるとちょっと気が重くなることも否めません。
巻き寿司を恵方を向いて食べるだけなら、後の掃除もなくてとても楽というわけです。
子どもが大きくなって、豆まきをしなくなった
子どもが小さい頃は家族全員で豆まきをして楽しめますが、子どもも大きくなるにつれて、豆まきも次第にしなくなっていきます。
豆を食べるだけという家庭もあるようです。
豆をまかずに食べるだけでは、節分のイベントとしてはちょっと物足りない感じもします。
恵方巻きなら、子供が大きくなっても、夫婦だけでも一緒に恵方を向いて巻き寿司を食べることができます。
まとめ
このように見ていくと、「豆まき」よりも手軽で、夕食としても食べることができる「恵方巻き」が、急激に受け入れられるようになったのも納得できるような気がします。
家庭の事情で、「豆まき」をするのは難しくても、「恵方巻き」なら受け入れやすいということでしょうか。
「恵方巻き」は、食品業界の戦略により広げられたという面がありますが、それがここまで広まっていったというのは、「恵方巻きが、今の家庭環境に受け入れられやすかった」ということが、大きな要因になっているといえそうです。