毎日どんなものを食べているかで、体のいろいろな機能の「質」が左右されます。
女性の妊娠力も、例外ではありません。
妊娠しやすい体づくりのためには、「質のよい食べ物」を「バランスよく」食べることが大切です。
妊娠力と食べ物の深い関係
人が生きていくために、必ず必要になる物質というのは、実は、それほど多くはありません。
空気、水、6大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維)などをはじめとした、50数種類程度の物質ですです。
しかし、これらのうちの、どれか一つでも不足すると、体のさまざまなところに、トラブルを起こしてしまいます。
生殖機能も、例外ではないので、食べ物によっては、卵子の健全な成育が妨げられるということもあるというわけです。
カロリーの摂りすぎは、肥満につながりますが、間違ったダイエットは、低栄養状態を引き起こして、ホルモンバランスが崩れ、妊娠しにくくなることもあります。
「野菜中心の食生活が、健康的で体にいい」ということをよく耳にしますが、必ずしも、そうとは限りません。
極端に、肉類などの脂肪分を避けてしまうと、生殖ホルモンの材料になるコレステロールが、不足してしまうこともあるからです。
また、ミネラルの一種の亜鉛が不足すると、卵胞の成熟や受精卵の分割がスムーズにいかなくなったり、鉄分が不足すると、卵が育つのに必要なエネルギーがうまくつくれなくなったりします。
加工食品やスナック菓子も、酸化した油が多く使われているので、気をつけたい食べ物です。
これらを食べ過ぎると、炎症を起こしやすい体質になり、子宮内膜症を悪化させるリスクが、高くなることもあります。
食べ物が妊娠力に及ぼす影響は複雑ですが、大切なことは、実は単純なことで、「1日3食の食事を、バランスよく食べる」ということです。
妊娠しやすい体づくりにつながる栄養素
妊娠しやすい体づくりのためには、規則正しい生活をして、健康的な身体をつくることが大切です。
妊娠するためには、母体が健康であることが重要なので、まずは、栄養バランスの良い食事をとることを心がけましょう。
たんぱく質
たんぱく質は、筋肉、臓器、皮膚などの材料となる、体を作るために重要な栄養素です。
胎児が成長していくためにも、たんぱく質は欠かせません。
鉄分
レバー、アサリ、納豆などに多く含まれている「鉄分」は、妊娠ホルモンの分泌を促すことが分かっています。
実際に、鉄分摂取で妊娠率があがったというデータもあるので、しっかりと摂りたい栄養素です。
女性は、毎月の月経のため、鉄不足になりがちなので、早いうちから蓄えておきましょう。
複合炭水化物
玄米などの、精製されていない穀物に多く含まれる「複合炭水化物」は、排卵を正常にする効果があるとされています。
一般的には、白米などの単純炭水化物を食べている人が多いですが、できれば、玄米などの複合炭水化物に変えることがおすすめです。
カルシウム
ヨーグルト、牛乳、チーズなどの乳製品に多く含まれている「カルシウム」は、生殖器の健康維持に役立つとされています。
フルーツにヨーグルトをかけて食べたり、清涼飲料水に変えて、牛乳やヨーグルトを飲むようにしてみてはどうでしょう。
オメガ3脂肪酸
イワシや鮭などの魚類に含まれている「オメガ3脂肪酸」は、生殖器の機能向上に効果があるとされ、妊娠しやすい体づくりにつながることが分かっています。
ビタミンE
アボカドなどに多く含まれている、生殖ビタミンとも呼ばれる「ビタミンE」は、ホルモンのバランスを整えて、生殖機能を正常化させる効果が高いとされています。
亜鉛
山芋や里芋に多く含まれている「亜鉛」は、男性の生殖機能の向上だけでなく、女性の妊娠ホルモンの分泌や、卵子のもとになる役割があるとされているので、「妊活には欠かせない栄養素」ともいわれています。
セレン
卵などに多く含まれている「セレン」は、精子の運動率を高めて、受精能力をアップさせる効果が期待できるとされています。
リノール酸
ごまなどに多く含まれている「リノール酸」は、不妊につながるとされるストレスを緩和するだけではなく、男性ホルモンの分泌など、男性の妊活にも効果的といわれています。
葉酸
葉酸は、妊娠初期には欠かせない栄養素ですが、妊活中にも摂取したい栄養素です。
葉酸には、子宮内膜を強化したり、子宮内の血流を促進させたりする効果があるとされています。
妊娠しやすい体づくりにつながる食べ物
納豆
納豆は、妊娠率をあげる「妊娠ホルモン」の分泌を促すとされる「鉄分」が多く含まれています。
玄米
玄米や全粉パンなどの「複合炭水化物」は、正常な排卵を促す効果があるとされています。
単純炭水化物の白米や白いパンから、玄米や全粉パンなどに変えてみてはどうでしょう。
ヨーグルト
ヨーグルト、牛乳、チーズなどの「乳製品」には、生殖器の健康維持に役立つとされる「カルシウム」が多く含まれています。
ヨーグルトに果物を入れたり、きな粉をかけたりすれば、美味しく食べることができます。
いわし
いわしや鮭などの魚類には、生殖器の機能の向上や不妊に繋がるストレスの緩和といった効果があるとされる「オメガ3脂肪酸」が含まれています。
アボカド
アボカドには、ホルモンバランスを整えて生殖機能を正常化させる効果が高いとされる「ビタミンE」が豊富に含まれています。
ビタミンEは、「生殖ビタミン」とも呼ばれています。
山芋
山芋や里芋には、妊娠ホルモンの分泌や卵子のもとになる役割があるとされている「亜鉛」が多く含まれています。
亜鉛は、妊娠する上で欠かせない栄養素ともいわれています。
卵
卵には、精子の運動率を高めて受精能力をアップさせる効果が期待できるとされる「セレン」が多く含まれています。
ごま
ごまには、不妊につながるとされるストレスを緩和するとされる「リノール酸」が多く含まれています。
卵子の質を高める食べ物
抗酸化作用の強い食べ物は、卵子の質を高め、全身の老化を防ぐことに役立つので、妊娠しやすい体づくりにつながるといえます。
抗酸化作用があるとされる食べ物
・ビタミンC: 柑橘類、いちご、りんご、トマト、ピーマン、じゃがいも
・ビタミンE: かぼちゃ、アーモンド、アボカド、木の実類
・βカロチン: ニンジン、ほうれん草、かぼちゃ
・リコピン: トマト、柿、すいか
・アスタキサンチン: えび、かに、鮭
・コエンザイムQ10: 牛肉、じゃがいも、キャベツ、ブロッコリー、大豆、いわし
・αリポ酸: ほうれん草、ブロッコリー、トマト、にんじん、じゃがいも
・カテキン: 緑茶
・リグナン: ごま
・イソフラボン: 大豆
体を温めて血行を促進する
妊娠しやすい体づくりのためには、血行を促進することが大切です。
血行を促進することで、体の冷えも改善することができます。
血液循環を良くしたり体を温めたりする食べ物には、次のようなものがあります。
納豆、青菜、ネギ、青魚、海藻類、キノコ類、玄米、生姜、ザクロ、イチゴ など
体を冷やさない食事
妊娠力を高めるには、普段から、体を温める食材を意識的に使うようにして、体を冷やすような食べ物は、できるだけ避けるようにしたいものです。
栄養バランスのとれたメニューを、温かく又は冷やさずに常温で食べるということが、妊娠しやすい体づくりには、効果的といえます。
妊娠する力を高める10カ条
ハーバード大学が実施した、12万人の女性看護師を対象にした「Nurses’ Health Study(看護師健康調査)」から導き出された、「妊娠する力を高める10カ条」というものがありますので、紹介します。
1. トランス脂肪酸の摂取を避ける。
2. オリーブオイルやキャノーラオイル等の不飽和脂肪酸の摂取を増やす。
3. 豆類やナッツのような植物性たんぱくを増やす。
4. 無精製の穀物を食べる(炭水化物)。
5. 乳製品は、必ずしも脱脂乳や低脂肪にこだわることはない。
6. 葉酸をはじめとするビタミンB群(Bコンプレックス)を摂取する。
7. 野菜や果物、豆類、そしてサプリメントから鉄分を摂取する。
8. 飲み物は、糖分の多い清涼飲料水は避ける。
9. 適正体重を維持する。
10. 毎日、穏やかな(過激にならない)運動を続ける。
まとめ
ある食べ物が良いといわれると、そればかり食べてしまう人もいますが、栄養が偏ると、妊娠以前に、健康を害してしまうことにもつながりかねないので、バランスの良い食事を基本にした上で、妊娠力を高める食べ物を加えるようにしましょう。
妊娠しやすくなる食べ物は、バランスよく食べることで、その効果を得ることができます。
過度な食事制限や暴飲暴食を避け、毎日3食の食事を規則正しく摂ることで、健康的に身体を維持し、妊娠力アップにつなげていきたいですね。