高齢でも妊娠しやすくするためにとるべき行動

女性の妊娠力は、30歳を過ぎた頃から、次第に低下しはじめて、30代後半になると、急速に低下していくといわれていて、妊娠する確率は、30代前半では25%程度、30代後半で18%程度、40代になると5~1%程度にまで低下するといわれています。

30代前半で25%の確率があるのなら、排卵日を把握して妊活すれば、妊娠できるだろうと思うかもしれませんが、なかなかうまくいかないのが、高齢妊娠の難しいところです。

また、加齢によって卵子が老化していくと、卵子の染色体の異常が増え、卵子そのものの生命力も低下するので、流産率も、30代後半になると急速に高くなっていきます。

加齢による卵子の老化は、止めることができないので、高齢になってから妊娠を考える際には、できるだけ早く、妊活を開始した方がよいというわけです。

高齢になってから妊娠をしたいと思ったら、一日でも早く、妊活を開始することが大切です。

高齢になると妊娠しにくくなる

子宮や卵巣の機能は、加齢によって働きが弱くなり、老化していくといわれています。

30代後半になると、卵子の質も低下し、ホルモンのバランスも乱れがちになるので、妊娠しにくい状態になります。

赤ちゃんは、結婚すれば、自然にできるものだと思っている人も多いようですが、高齢になるほど、自然妊娠は難しくなっていきます。

高齢妊娠がしにくい原因

高齢妊娠がしにくい最も大きな原因は、「卵子の老化」ですが、他にも「生理不順」「高温期が短い」「子宮内膜が薄い」「排卵日に性交渉をしていない」「子宮筋腫」「子宮内膜症」「極端な肥満・やせ」なども原因として挙げられます。

子宮筋腫や子宮内膜症に関しては、まずは、専門医に診てもらうことが重要です。

病気そのものが、妊娠の妨げになっている場合もあります。

また、極端な肥満や痩せが、ホルモンのバランスを狂わせて、生理不順になったり無排卵になったりしていることもあります。

適切な体重になるように、積極的に体を動かしたり、食生活を見直したりすることも大切です。

高齢妊娠に向けての行動

結婚をして普通に妊活をしていれば、赤ちゃんは、いつか自然にできるものだと考えていて、いつの間にか、妊娠のタイミングを逃してしまうという人も少なくありません。
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結婚するのが遅く、妊娠を考えた時が35歳を超えているようなら、高齢妊娠に向けて、積極的な行動をすることが大切になります。

妊娠できる期間は限られているので、少しでも早く、妊娠を意識した行動をとることが重要です。

また、「妊娠しやすい体づくり」を心がけるとともに、出産に向けて体力をつけておくことも大切です。

高齢での妊娠・出産は、若い人に比べて、体力的にもかなり大変になり、出産後には、赤ちゃんの世話も待っています。

妊娠を考えたその日から、妊娠・出産に向けて積極的な行動を始めるようにしましょう。

基礎体温で排卵のチェックをする

30歳を過ぎると、妊娠する可能性がどんどん低くなるので、高齢での妊娠を望む女性にとっては、少しの時間も無駄にできないというのが実際のところです。

基礎体温をつけてみて、体温が2層に分かれていれば、ひとまずは、安心です。

体温がグッと下がる頃に排卵するので、サイクルをしっかりと把握して、そのタイミングで妊活するようにしましょう。

また、高温期が、きちんと2週間以上あるかをチェックもしておくことも大切です。

適度な運動を習慣にすることで、体温をアップするようにすれば、高温期を長期に保ちやすくなります。

ウォーキングなどの有酸素運動は、体力づくりの面からも良く、筋肉トレーニングなどで筋力をアップさせれば、代謝が向上して、体温のアップが期待できます。

高温期を充実させる栄養素をしっかり摂取する

高齢で妊娠するには、高温期をいかに充実させるかということが、重要なポイントになります。

妊娠しやすい身体に整えるのに重要とされる栄養素は、特に意識して摂取するようにしましょう。

ビタミンE

ビタミンEは、妊娠力に直結するとされるビタミンで、「妊娠ビタミン」ともいわれるくらい、妊活には大切な栄養素です。

理由は、ビタミンEが、強い抗酸化作用と自律神経のバランスを整える作用があるからです。

ビタミンEを十分に摂取することで、血流が改善され、ホルモンバランスが整って、卵巣の機能や卵子の質が、回復するとされています。

このため、「妊娠ビタミン」とまでいわれているわけです。

成人女性の1日のビタミンEの推奨摂取量は、6.0mgとされていますが、妊婦の場合は6.5mg、授乳期の場合は7.0mgとされています。

ビタミンEを多く含む食品には、次のようなものがあります。

・いくら:9.1mg/100g
・うなぎ:7.4mg/100g
・落花生:7.2mg/100g
・たらこ:7.1mg/100g
・モロヘイヤ:6.5mg/100g
・かずのこ:5.1mg/100g
・赤ピーマン:4.3mg/100g
・パセリ:3.3mg/100g
・アボガド:3.3mg/100g

脂溶性であるビタミンEを摂り過ぎると、骨粗しょう症を起こす危険があるともいわれていますが、通常の食事で過剰摂取になる心配は、ほとんどないといわれていて、妊娠に当たっては、積極的に摂取するようにするのが良いとされています。

意識して、ビタミンEを摂取するようにしましょう。

葉酸

葉酸は、妊娠時には欠かせない栄養素であるとともに、お腹の赤ちゃんのためにも、必要な栄養素です。

特に、妊娠前から妊娠初期までの間には、不足しないように、しっかりと摂取したい栄養素です。

葉酸には、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを軽減する働きのほか、流産、ダウン症、染色体異常のリスクを軽減する働きがあることも確認されています。

さらには、子宮内膜の環境を整えて、着床しやすくする効果も期待できるといわれているので、上記のリスク軽減に加えて、より妊娠しやすい状態にするということからも、十分な葉酸の摂取が大切になります。

葉酸を含む食品としては、ホウレン草、ブロッコリー、アスパラなどが挙げられますが、食品からだけでは、必要量を摂取することは難しいので、厚生労働省も、妊娠を計画している女性は、1日400μg(0.4mg)の葉酸を、栄養補助食品(サプリメント)から摂取することに言及しています。
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最も葉酸の摂取が必要な時期は、妊娠前1ヶ月~妊娠後3ヶ月までといわれますが、妊娠に気づくのは、早くても、妊娠後2ヶ月を過ぎてからということがほとんどなので、妊娠を意識したら、葉酸を積極的に摂るようにしたいです。

栄養バランスの良い食事と適度な運動をする

妊娠したいと思っても、体調が悪かったり、精神的に不安定な状態だと、妊娠もしにくくなってしまいます。

高齢になってから、健康的に妊娠をするためにも、軽いウォーキングや体操などで、毎日適度に体を動かして血行を良くし、体力や筋力をつけるよう心がけましょう。

全身の血流がよくなれば、卵巣や子宮にもよい影響を与えます。

食事は、野菜や魚を中心にして、栄養バランスの良い食事を、3食きちんと食べるように心がけましょう。

脂質や糖質を摂りすぎると、生活習慣病や肥満につながり、妊娠にも悪影響を与えるので、特に注意が必要です。

生活習慣病や肥満の人が妊娠すると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を引き起こすリスクが高くなります。

これらの病気になってしまうと、出産の際に深刻な事態を招くことにもなりかねないので、食事のメニューは、それまで以上に気をつけるようにしましょう。

婦人科検診を受ける

高齢になってから妊娠をしたいと思ったら、まずは、産婦人科で婦人科検診を受けてみましょう。

高齢になると、子宮や卵巣の病気にかかりやすくなっています。

病気に気付かないまま妊娠した場合には、赤ちゃんを諦めなくてはならなくなることもあります。

卵巣の病気は30代前半から、子宮の病気は30代後半から発症しやすくなるという、厚生労働省の統計もあります。

妊活を始める前にきちんと診てもらって、安心して妊活に臨むようにしましょう。

産婦人科を選ぶ

婦人科検診を受ける産婦人科は、妊娠・出産のことも考えて選ぶことが大切です。

産婦人科での基本的な検診は、ほとんどが初診時に行われます。

検診は、近くの医院でいいと適当に選んで、実際に妊娠した時には、別の病院にかかるとなると、また最初から検査をやり直すことになってしまいます。

また、最初から同じ病院で診てもらった方が、医師とのコミュニケーションも上手くいき、信頼感も増していきます。

高齢妊娠では、リスクが高くなることも多いので、地域の周産期医療センターなどにかかっておけば、何かあった時にも安心です。

心の準備をする

高齢になると妊娠しづらくなりますが、妊娠できたとしても、途中で胎児に先天的な異常があるという診断を受けたり、流産などの危険に見舞われることもあります。

これらのリスクは、あらゆる年代での出産で起こり得ることですが、高齢出産の場合には、確率が高くなってしまいます。

何らかのアクシデントが起きた場合に、「高齢だから」と悲観的になって、それが体調に悪影響を与えることもあります。

いろいろなリスクに関する情報を集めておいて、いざというときにはどうすればいいのか、どんなケースがあるのかなどを、あらかじめ知っておくことが、母体の安心感につながり、精神的なリスクを減らすことにも役立ちます。

高齢出産に当たっては、母となるための強い心を育てることも大切になります。

それでも妊娠できない場合の考えられる原因

高温期が続かない(黄体機能不全)

なかなか妊娠できないのは、黄体機能不全だからかもしれません。

高温期は、黄体期と呼ばれていて、黄体ホルモン、プロゲステロンが分泌され、子宮内膜を厚くして着床しやすい状況が作られます。

黄体ホルモンの分泌が不足していると、高温を保つことができず、高温期が続かない状態になります。

一度、産婦人科を受診してみましょう。

診断によっては、プロゲステロンの服用を勧められることもあります。

生理が不規則(早発閉経)

生理の周期が不規則で、基礎体温もバラバラになっているような場合には、早発閉経ということも考えられます。

ホルモンバランスが崩れているだけなら、休息などで治ることもありますが、早発閉経の場合は、そういうわけにはいきません。

高齢妊娠を目指す際には、不規則な生理は見過ごせないことです。

速やかに産婦人科を受診しましょう。

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高齢になれば、体に不調が起きやすくなったり、体の機能が低下することは、避けられないことです。

高齢妊娠の準備として、まずは、自分の体をチェックして、自分の体のことをよく知ることから始めましょう。

高齢妊娠には、さまざまなリスクがあるということも事実ですが、何の問題もなく、元気な赤ちゃんを出産する人も多くいます。
 
妊娠を意識して、健康な状態を保ちながら毎日の生活をおくることが、高齢になっても、スムーズに妊娠できることにつながります。

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