高齢出産でダウン症や発達障害の確率が高くなる原因は?

晩婚化が進んでいる現状では、昔に比べて、出産する年齢が、高くなる傾向にありますが、高齢出産では、若い頃の出産に比べると、いろいろな面でリスクが高くなります。

先天異常や発達障害のある子が生まれる確率が高くなるというのも、そのうちの一つといえます。

ダウン症

先天異常

「先天異常」については、若ければ安心というわけではありませんが、35歳以上になると、先天異常の発症率が高くなるということも事実です。

20代後半で1.88%だった先天異常の発生率が、30代後半で2.02%、40歳を過ぎると2.38%になる、という調査結果もあります。

先天異常の中でも、特に加齢が影響しやすいとされているのが、ダウン症などの「染色体異常」です。

染色体異常の原因の一つに、「卵子の老化」がありますが、染色体異常が起こった際の約8割は、母親に由来しているといわれますが、残りの約2割は、父親に由来しているといわれています。

ダウン症を始めとした先天異常のことを心配して、高齢での出産になると、出生前診断を受けることを考える人も多くなるようですが、まずは、担当医に相談してみましょう。

出生前診断で、すべての先天異常が分かるというわけではありません。

高齢出産とダウン症

高齢での出産では、ダウン症の確率が高くなるのは確かですが、「高齢出産=ダウン症」というわけではありません。

高齢出産でダウン症の発生率が高くなる大きな原因に、「卵子の老化」があるとされています。

女性は、生まれながらにして卵子の元を持っていて、それを受精するまで、ずっと持ち続けるので、卵子も、年齢とともに劣化していくといわれています。

このため、高齢になるほど、卵の減数分裂の際に第21染色体が離れにくくなって、1本余分に存在する卵をつくってしまうと考えられています。

第21染色体が1本余分に存在するのが、「ダウン症」です。

高齢出産でダウン症の子が生まれる確率

高齢出産の場合には、ダウン症の子が生まれる確率が高くなるといわれています。

実際のところ、20代での出産の場合のダウン症の発生率は0.1%未満であるのに対して、35歳になると0.26%、40歳を過ぎると1%を超える高さになるとされています。

ダウン症の発症割合(母親の年齢別)

母親の年齢別による、ダウン症の発症割合は、次のとおりです。

25歳: 1/1250(0.08%)
30際: 1/952(0.1%)
35歳: 1/378(0.26%)
40歳: 1/106(0.94%)
45歳: 1/30(3.33%)
49歳: 1/11(9.09%)

母親の年齢が高くなるほど、ダウン症や染色体の異常をもった子が生まれる確率は、高くなっています。

最近では、晩婚化が進んで、高齢出産のケースも増えていて、ダウン症の赤ちゃんの数も、15年前と比べると、倍増しているともいわれています。

高齢出産でダウン症の確率が高くなる原因

出産年齢が高齢になるにつれて、生まれてくる子がダウン症である確率が高くなる大きな原因の一つに、「加齢による卵子の老化、質の低下」があるとされています。

卵子の元になる原始卵胞は、胎児の時に一生分が作られていて、その原始卵胞は、排卵などで徐々に消費されていきます。

精子とは違って、卵子は、新しく作られるということがないので、加齢とともに、卵子も歳をとって老化が進み、卵子の質が低下していきます。

卵子が老化して質が低下すると、染色体の分裂がうまくいかない可能性が高くなり、ダウン症をはじめとした、染色体異常の赤ちゃんが生まれる確率が高くなるというわけです。

ダウン症の予防は可能?

ダウン症に対しての確実な予防法や治療法は、未だ確立されていないというのが現状です。

高齢出産を避けて、なるべく早く赤ちゃんを産むということが、ダウン症の予防には、最も有効であるといえます。

高齢出産を避けることが最も有効ですが、「葉酸を十分に摂取する」ことも、ダウン症の予防につながるとされています。

葉酸を十分に摂取する

「葉酸」は、胎児の染色体の異常を引き起こす確率を低下させるといわれています。

アメリカやイギリスなど、7カ国が協力して行われた臨床実験では、葉酸を摂取することで、ダウン症の発症リスクを70%軽減することができたという結果も発表されています。

日本でも、胎児に対する葉酸の重要性が注目されるようになり、厚生労働省も、妊娠を望む夫婦の十分な葉酸の摂取に言及しています。

妊活中の女性に必要な葉酸の摂取量は、1日あたり400ugとされていますが、食事だけで必要とされる量の葉酸の摂取することは、難しいといわれています。

葉酸を多く含む食べ物として知られている「ほうれん草」を例に挙げると、400ugの葉酸を摂取するためには、約1kgのほうれん草を食べることが必要になります。

実際に、食事から十分な葉酸を摂取することが難しいため、厚生労働省も、サプリメントなどからの葉酸摂取に言及しています。

葉酸サプリは、それほど高額なものではないので、特に高齢出産となる場合には、積極的に利用することを考えてみましょう。

発達障害

発達障害とは、脳機能の発達のアンバランスさと、生活する環境や周囲の人との関係のミスマッチから、社会生活に困難が発生する障害のこととされています。

発達障害のある子は、得意なことと不得意なことの差が非常に大きかったり、他の人とは違った物の考え方や感じ方をしたりすることが多く、日常生活にも支障をきたしやすいとされています。

発達障害には、「広汎性発達障害」「学習障害」「注意欠陥・多動性障害」などがあり、これらには、次のような障害があります。

・広汎性発達障害:自閉性障害(自閉症)、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、レット障害
・学習障害:読字障害、書字表出障害、算数障害
・注意欠陥・多動性障害:不注意優勢型、多動性-衝動性優勢型、混合型

発達障害の原因

発達障害の原因には、遺伝、先天性、疾患、外傷など、様々なものがあるといわれています。

発達障害というと、先天性の異常と思われがちですが、全ての発達障害が、先天性であるというわけではありません。

後天性の要因で、発達障害となる場合もあります。

ある程度成長してから、疾患や外傷によって生じた後天的な脳の障害は、発達障害とは言わずに、「高次機能障害」などといって区別されます。

知的障害を伴わない発達障害も、社会的に認知されるようになりましたが、まだまだ「発達障害=知的障害」というイメージが強くあります。

発達障害は、脳機能の障害が原因とされていますが、どうして脳機能障害が起こるのか、はっきりとしたことは分かっていないといわれています。

ただ、高齢出産では、先天異常の発達障害の確率が高くなるということは事実です。

「高齢出産=発達障害」ではない

高齢出産で、発達障害のある子が生まれてくる確率が高くなるのは事実ですが、必ずしも、「高齢出産=発達障害」というわけではありません。

高齢出産でも、発達障害のない子が生まれてくる確率の方が、圧倒的に高いというのも事実です。

高齢出産だからといって、必要以上に悲観的に考える必要はありませんが、発達障害のある子が生まれてくるリスクが高くなるということは覚えておきましょう。

高齢出産での発達障害は、女性にだけ原因があるとは限らない

男性は、毎日自分のDNAをコピーした精子を作り続けています。

精子の質も年齢とともに劣化していき、毎日コピーを続けていると、時には、突然変異が生じることもあるといわれます。

約40万人を対象とした、「父親の年齢」と「子供が自閉症になる確率」を調べた研究結果は、次のとおりだったといいます。

父親の年齢別「子供が自閉症になる確率」 父親の年齢別で、子供が自閉症になる確率は、次のとおりです。 15〜29歳: 0.09% 30歳: 0.09% 40歳: 0.32% 50歳: 0.52% 父親が高齢だと、自閉症の発生率も高くなる傾向があるということは、間違いないようです。 高齢出産では、母体に原因があると考えられがちですが、一概にそうとはいえないということも、理解しておく必要があります。 加齢は、女性だけではなく、男性にも影響を及ぼしているということです。 高齢出産で後悔しないために

若い頃には、仕事や自分たちの生活のことで頭がいっぱいで、妊娠や出産のことまでは、深く考えていなかったという人も多いです。

そういった生活をしていれば、年齢を重ねてから、子供が欲しいと思うようになっても、おかしくはありません。

しかし、高齢になってから出産することのリスクをよく理解せずに、妊娠・出産を迎えて、いろいろなリスクに直面して、戸惑ってしまう人がいることも事実です。

高齢出産に際して、後悔しないようにするためには、まずは、「高齢出産のリスク」をしっかりと理解しておくことが大切です。

リスクを理解した上で、妊娠や出産にどう臨むのかを、パートナーとよく相談しましょう。

「ホルモンバランスを整えるために、食生活を改善する。」
「適度な運動を続けて、体力をつける。」
「葉酸を十分に摂取する。」

などは、スムーズな高齢出産に向けて、比較的取り組みやすいことです。

健康的な生活を心がけることも、高齢出産でトラブルを少なくするには、大切なことです。

まとめ

女性の妊娠力が低下し始めるのは、一般的には、33歳以降とされていますが、30代後半になると、妊娠力の低下は急激になるといわれています。

35歳を過ぎてから子供が欲しいと思っても、20代の頃に比べて、妊娠するのが難しくなっているというのが現実です。

また、妊娠できたとしても、出産に当たって、ダウン症や発達障害の発生する確率が高くなるというのも、確かなことです。

将来的には子供が欲しいと考えている人は、これらのことも考慮して、しっかりとしたライフプランを立てるようにしたいですね。

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